ニューヨークの、映えない日常

コラム

スタッフから「ニューヨークでの暮らしをコラムに書いてほしい」とリクエストがあった。


でも、正直に言うと、自分の生活は思っているよりずっと地味だ。
それでもあえて、その“映えない日常”を書いてみようと思う。


朝は、だいたい太陽とともに目が覚める。
夏なら6時半、冬は7時半くらい。早起きは三文の徳を信じています。

目が覚めたらまずベッドの横に置いてある水を飲み、水分補給。
それから、ベッドの寝跡を整えるのが、自分なりのちょっとしたこだわり。

片手にコーヒーを持ちながら、まずは日本のチームからのメールチェック。
サマータイムは13時間、ウィンタータイムは14時間の時差があるから、目覚めた頃には日本はちょうど一日を終えている。

毎日頑張ってくれているスタッフに、できるだけ一言でもコメントを返すようにしている。

二杯目のコーヒーを飲むころ、今度はアメリカのメールへ。

バイヤーや顧客とのやり取りの合間に、ふとインスピレーションが湧いたら、デザインに集中する。
一気に書き出すような感覚で、だいたい2~3時間が集中力の限界。

出し切ると睡魔に襲われ、10分だけパワー仮眠。
自分のいびきで起きることも珍しくない。

午前中はたいていクリエーションを出し切って、昼以降はアイデアがふっと止まる。だから、そこからは外へ出て街を歩く。

ニューヨークをぶらりと散策しながら、人間観察をするのが好きだ。
特に、ファッションやジュエリーの身につけ方にバイブスを感じる人を見つけると、つい目がいってしまう。


好きなカフェの一角。大きなスピーカーがいくつもディスプレイされていて、普段聴かないような音楽が店内を響いている。ほうじ茶ラテを飲みながら、まさにこの原稿を書いている。

ノマドスタイルはこの街ではすっかり定着していて、カフェにはMacBook片手に作業をする人たちの姿が10年以上も前から当たり前のようにある。
ここも例外ではなく、今日もそれぞれが自分の世界に没頭している。

ジュエリーを身につけていると、「それ、どこの?」と聞かれることもあり、そこから会話が生まれて、ミラモアを紹介することもある。

週に2~3回はジムに行き、体のメンテナンス。
イヤホンで気分の上がる音楽を聴きながら、移動時間やトレーニング中に新しいアイデアを思いつくことが多い。
または、美術館やギャラリーを巡り、自分に響くものを探す。

夜ご飯は自炊が苦手なので、チャイナタウンの韓国料理屋や火鍋のお店がお決まり。
日本との会議が夜にない日は、映画を観てソファで寝落ちするか、友達とディナーへ。
暖かい夜にはウェストサイドの川沿いを散歩して、沈む夕陽とランニングするニューヨーカーたちを眺めながら、また
ジュエリーの身につけ方を観察している。

そして翌朝、また昨日の「殴り書き」を見直しながら、整えていく。
それが自分の、日常。
ほら、地味でしょ。

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