ニューヨークから、メリークリスマス。

コラム

 

一年で最もワクワクする日、誕生日とクリスマスみなさんはどのように過ごしていますか?


僕は幼い頃、母が自分の誕生日やクリスマスイブ、そして当日も仕事だったので、一人で過ごすことがほとんどでした。スーパーで買ったクリスマスのカチューシャをつけ、ケンタッキーフライドチキンを頬張りながらテレビを見る──そんな記憶が今でも鮮明に残っています。一人で過ごしている寂しさを紛らわせようと、自分なりにクリスマス気分を盛り上げていましたが、どこかで「普通のクリスマス」への憧れもあったのかもしれません。


そのせいか、大人になってからも「クリスマスは特別な日」という感覚があまりなく、誕生日もクリスマスも普通の日と同じように仕事をしていました。「クリスマスに何かをする」という概念自体が自分の中には存在していなかったんです。
ニューヨークに住み始めてから、その考えが少しずつ変わりました。アメリカではクリスマスは「家族と過ごす日」。日本のように当日も賑やかではなく、お正月のようにすべてのお店が閉まります。そのため、自然と自分が選んだ「家族」と過ごすようになりました。
最初はその静けさに少し戸惑いましたが、寝癖のまま、パジャマ姿で何日も過ごすことがこんなにも幸せだなんて──ニューヨークが教えてくれました。それまでクリスマスに特別な思い入れがなかった僕が、「クリスマスっていいな」と思えるようになったのは、この街で新しい過ごし方を見つけたからかもしれません。

クリスマス、それぞれの物語

クリスマスには、みんなそれぞれの物語があります。
僕が一人で過ごしていた幼少期、そしてニューヨークで家族のような人たちと過ごすようになった現在。みなさんも、大切な人や家族と過ごす人、一方で、かつての僕のように一人で過ごす人もいるでしょう。どちらであっても、それぞれの時間には、それぞれの彩りがあり、そこには人それぞれのストーリーが紡がれていきます。

例えば、映画『ラブ・アクチュアリー』を思い出させるような、小さなエピソードの積み重ね。誰と過ごしていても、一人で過ごしていても、少なくとも誕生日とクリスマスくらいは「自分を褒める日」にしてみてほしいと思います。「今年も頑張ったな」とか「少しだけど成長したな」とか、なんでも良いので、自分を認める時間を持つこと。それだけで、きっと世界の見え方が少し変わるはずです。


僕も今年のクリスマスは、パートナーと過ごし、そしてミラモアを支えてくれているチーム、職人、お客様に感謝を伝えたいと思います。「みんなのおかげで今年も成長させてもらった。自分、よくやった!」と、自分自身を少し褒めてみるつもりです。
かつて一人で過ごしていた自分にとって、「誰かと過ごすクリスマス」をこんなにも大切に思える日が来るとは思いませんでした。今、一人で寂しい思いをしている人も、未来には違うクリスマスが待っているかもしれません。


だからこそ、今どんな形でクリスマスを過ごしているとしても、「この日を自分のために少しだけ特別にする」。それが自分自身に与えられる、ささやかなプレゼントになるのではないでしょうか。

ニューヨークから、メリークリスマス。
コラム一覧