触れて感じるジュエリー、点字ダイヤモンド

コラム

点字がフランス発祥だということ、ご存知でしたか?
もともとは、軍事用の夜間暗号として考案されたようで、1825年にパリ訓盲院の教師だったルイ・ブライユが、視覚障害者向けの文字として改良し、現在の6点点字を生み出し、言語によって異なるそうです。

 


点字について知ったのは、学生時代のバリアフリーやユニバーサルデザインの社会の授業がきっかけでした。道路や切符売り場、缶ジュースに至るまで、点字は日常生活の中で意外と身近な存在です。指先で情報を読むこのスキルは、子供心にとても魅力的に映り、かっこいい!と思いました。

ユニバーサルデザインとは、障害の有無に関係なく、誰でも利用できることを指すもの。この概念を、自分のデザインに取り入れたいと思い、誕生したのが「点字ダイヤモンドシリーズ」。18金の素材に、ミラモアの職人の技術を駆使して、天然ダイヤモンドを逆さにセッティングし、指先で読むことができるジュエリーを実現しました。

 


ダイヤモンドを深く埋めすぎれば触れて読めず、浅くしすぎれば外れてしまう。この繊細なバランスを実現できるミラモアの職人の技術には、改めて感動しています。

 


視覚で楽しむ人には、マットと光沢のあるシンプルなデザインの中に輝くダイヤモンドが映るでしょう。しかし、自分の狙いは、ダイヤモンドを触れて感じる感動を体験してもらうことです。視覚障害を持つ方にとっても、天然ダイヤモンドが持つ圧倒的なパワーがロマンを感じさせてくれる。

ジュエリーは通常、指紋がつかないように扱うため見るもの。ですが、「点字ダイヤモンドシリーズ」は、触れることで言葉を感じる究極のユニバーサルデザインなのです。

ちなみに、自分がいつも身に着けているのは「MANIFEST」。これは「有言実行」の意味を持つ点字が刻まれています。願うよりも、マニフェストした方が早いでしょ?そして、感謝の気持ちを忘れないように「GRATEFUL」と意味するルビーのダブルフェイスエタニティバンドも愛用しています。天狗にならず、地に足をつき、謙虚でありたいと思うからです。

 


稲木ジョージ
ミラモア創設者&金継ぎ哲学者
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