取扱注意。
注意を払えば、よく目にするこの4文字が、ストリートウェアブランド「ブラックアイパッチ」によってファッションに落とし込まれました。帽子には大きく「取扱 注意」の刺繍が施され、Tシャツやパーカーにはこの言葉がプリントされています。このインパクトに惹かれ、帽子を購入してみた。
帽子を被ると、不思議と面白い人たちが寄ってくるようになりました。
特にアートやクリエイティブな分野で活動する人々からは、「面白いね、君」と言われることが多い。なぜ面白いのかと尋ねると、「視線を浴びるからだ。自信がなければ、そのような言葉をファッションとして楽しむことはできない」と陶芸の師匠に言われました。
この帽子を被って街を歩けば、日本人からは二度見され、笑いを誘うことがあります。おそらく、日本語の意味を知らない外国人がかっこいいと思って漢字を身につけていると思われたのでしょう。
自分が身につけることで、「繊細な性格だから取扱注意なのか、それとも取り扱うべき人物なのか」という考えに至り、これが面白いポイントの一つ。
この言葉が好き過ぎて、右手にはタトゥーまで彫りました。また、KINTSUGIバングルを意識的にスタイリングし、壊れた自己を修復するかのような自己表現を試みています。
まさに、自分の右手が血が通ってる作品なのだ。
しかし、よく考えてみると、この世に存在するものすべては取扱注意が必要ではないでしょうか?形あるものはいずれ壊れるからこそ、取扱いには注意が必要です。自然が与える恵みも、適切に扱わなければ失われてしまいます。人との関係も、注意深く扱わなければ傷つけてしまうことがあります。
だから、この世に存在するすべてに「取扱注意」が必要なのです。
「取扱注意」は単なる注意喚起ではなく、哲学です。
稲木ジョージ
ミラモア創設者&金継ぎ哲学者