Designed in New York, Handcrafted in Japan.

コラム

 

Vol.1をお楽しみいただけたでしょうか。前回は自己紹介のような内容でしたが、今日はミラモアのコンセプト「Designed in New York, Handcrafted in Japan」に焦点を当て、ニューヨークと日本の両文化に根ざした生活がどのようにデザインと生産へのこだわりが出来上がったミラモアの作品に影響を与えているかを綴りますね。


あなたにとってニューヨークのイメージは何ですか?
自分が思春期の頃、洋楽や洋画に大きく影響され、映画でみたあの街並みとクールなニューヨーカーに憧れていた。


ニューヨークに住んで10年が経ち、高い物価、汚れた街並み、ネズミランド、そして物騒な一面があることを生活している上で初めて知りました。しかし、現実と夢物語が交差するこの街の生々しい醜さが、まるでダイヤモンドのように輝く理由かもしれません。


ニューヨークの街を歩き、地下鉄に乗りながら、ニューヨークで育ったクールキッズの「センス観察」をすることは自分にとって最大のスタイルインスピレーション。
限られた資源の中で駆使しながら、自分のスタイルとセンスを磨き上げている彼らアティチュードに勝る物はない。リミットがあるからこそ、最高の「スタイル」が生まれる秘訣というヒントをもらっている。


コンクリートジャングルの殺伐としたエネルギーから離れ、マンハッタンから約2時間北へ行った郊外の自宅で、ニューヨークシティから得られた刺激をデザインに落とし込むことが、「Designed in New York」の世界観です。

自然に囲まれ、葉っぱどうしが擦れる音、鳥そして愛犬のAkkiちゃんに囲まれた環境の中でクリエーションすることで自分の精神バランスを整えている。


一方、「Handcrafted in Japan」の理由はとてもシンプル。日本の職人魂は、超かっこいい。一点一点をお客様に「長く使ってもらいたい」という意識を持ち、真心を込めてハンドクラフトしているから。ニューヨークやパリでの展示会で「日本産のラグジュアリージュエリーは珍しい」と評価されるたびに、日本の職人たちへの誇りを感じる。

一度アメリカでミラモアの生産を試みたものの、「早く作って早く納品したい」という姿勢が完成された作品のディティールに表されており、自分の目からみて日本の職人技には及ない。
全世界の職人さんと仕事をしたことがあるわけではないので一概には言えませんが、このことが、メイドインジャパンが世界のクラフトマンシップの頂点にあると断言する理由です。

日本の職人技への敬意は、デザインする上で欠かせない要素です。


ジュエリーの世界では通常、トップ職人はイタリアやフランスと言われています。これは歴史的な背景と王族文化の影響で、富を象徴する王冠やティアラのジュエリー文化が根付いているからです。一方日本は明治時代まで着物文化が主流で、考えて見れば日本人にとってジュエリーは比較的新しい文化だ。
お茶会ではお椀が割れることを避けるため、ジュエリーの着用が禁じられておりましたが、日本女性はカンザシや帯留、男性は刀の冴や兜を「宝石」として用いていました。
日本の刀剣製造の歴史を考えてみると、金属を扱う技術に長けているため、そもそも日本人職人はジュエリーにも向いていると個人的に思っています。


自分がみた景色、音、空間から受けた刺激をデザイン画に落とし込み、日本に住むアトリエ長とディスカッションし、作品にブラシアップかけます。アーティストとしてアトリエ長とのコミュニケーションは欠かせなく彼が僕にとって心臓であり手足のような存在だ。
東京のはずれにあるアトリエは映えるような場所ではないけれど、いい感じの味わいがあり、どこか懐かしく、まるで実家のような落ち着く不思議な空間です。どこかのタイミングで改めて綴りますね。
ジュエリーは生産する工程をみる機会が少ないかもしれませんが、何人もの職人さんがたくさんある細かい工程を経て多くの職人によって手を加えられて完成されます。自分はその工程を知り、職人さんの顔も合わせているため、ミラモアが素敵なご主人に迎えられることが何より嬉しいです。


「Designed in New York, Handcrafted in Japan」は、まさにミラモアのアイデンティティを象徴するコンセプト。ニューヨークの生のエネルギーと日本の精緻な職人技が融合し、独自のスタイルを生み出しているのです。


「世界で活躍できるような男になれ」という願いを込めて、今は亡き父が「ジョージ」と名付けました。
スペイン語では「ホルへ」、ドイツ語では「ゲオルグ」、イタリア語では「ジョルジオ」と、世界中にいろんなジョージのバージョンがあります。母子家庭で育ち、父との思い出は少なかったですが、「世界のジョージ」として、彼の願いに少し近づけられたかな。そして、ミラモアも、世界中で誇れる日本発のジャパニーズヘリテージブランドとして成長するため、チーム一同努力を重ねていきますね。


次回は、私がどのように日本文化と出会い、それとどのように付き合ってきたかについてお話しします。
それではまた。


稲木ジョージ
ミラモア創設者&金継ぎ哲学者
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