「ニューヨークから、メリークリスマス」

コラム

お顔を拝見したことのあるお客様や、まだお会いできていないお客様へ。


Hello!

2019年4月にミラモアを立ち上げて以来、これがみなさまへの最初のオープンレターになりますね。

ミラモアファインジュエリーの創設者であり、ブランドヴィジョニアの稲木ジョージです。
どのようにしてミラモアをお知りになりましたか?興味を持ってくれたり、実際に身につけてくださって、大変嬉しく思います。

このようなコミュニケーションの機会がなかったので、僕について少し話させてください。
フィリピンのマニラで生まれ、9歳から17年間日本で育ちました。ご縁があり、現在はニューヨークに住んで10年になります。



ブランドヴィジョニアとして、ジュエリーデザイナー兼クリエイティブディレクターそしてまだ未熟ではありますが、経営者として活動しています。ミラモアの以前はファッション業界にいました。
その当時は、作り手ではなく、作られたものを「伝えて、広める側」にいました。

幸運にも、多くのデザイナーの作品とヘリテージに触れる機会にすごく恵まれ、ありがたいことに感性を自然に磨いていくことができました。今の自分の美学に大きく影響を与えたことは間違いありません。

詳細はまたの機会にお話ししたいと思いますが、2018年、まだ名もないミラモアを立ち上げるチャンスが巡ってきたとき、自分がまさかクリエイターになるなんて想像もしていませんでした。人生は本当に面白く、心を開いて流れに身を任せていれば、思わぬところへ導かれるものなのですね。

伝えて広める側から生み出す側へと転身しましたが、今ではジュエリーというメディアを通してメッセージや哲学を伝えているつもりです。それは、自分の根底にある「伝えて広めること」の延長線上にあるのかもしれません。

尊敬するクリエーターやデザイナーが数多く存在する中で、「ジョージにしかできないことは何か?」と自分自身に幾度も問いかけてきました。物が溢れかえるこの世界において、ジョージが何を貢献できるのか?と。36歳を迎えた今年、ようやく自分の「存在意義」を見つけることができたのです。

血筋から受け継がれるものはなく、与えられたレガシーもなかった。しかし、何もないからこそ、「創造する」ことが自分の使命なのだと感じています。だから、今やっていることは心が満たされ、最高に楽しく、まるで青春を取り戻したかのようです。

露骨で生々しい感情をどう上品かつ美しく表現するか。それが稲木ジョージのクリエーションの真髄。

貧しかった幼少期を経験し、学校でアートやデザインを学ぶなんてとても贅沢で、芸術とは無縁でした。
生きることに必死だったあの時、伝えたいことは何だったのでしょうか。
それが金継ぎの哲学です。デザインの「基礎」を学んでいない分、これまでの経験と見た景色から型破りなデザインを生み出せたのかもしれません。

指の本数で数えられるほどの良いご縁だったのは、ミラモアを始めるきっかけを与えてくれたご夫婦と、ミラモアのアトリエ長です。ニューヨークで得られる多文化のエネルギーから刺激を受け、僕のビジョンを完璧に理解してくれる日本に住むアトリエ長は、日本の伝統と職人技とコンテンポラリーデザインの調和と融合を巧みに具現化してくれています。幾度となく夜と朝に電話やLINEでやり取りをし、年に2回の来日で実際に日本のアトリエにてデザインを完成させています。まさに「Designed in New York, Handcrafted in Japan」です。

宝石との出会いは、学生時代でした。敬語を習得したいという動機で、名古屋にあるコメ兵の宝石店で販売員として働き始めたのです。その当時の先輩からジュエリーに関する多くのことを学び、その知識と経験は今、ミラモアに活かされています。最近、名古屋で開催されたポップアップイベントで帰省ができ、かつてお世話になった先輩が来店し、自分がデザインした作品を見せることができました。ジュエリーの基礎を教えてくれたことにお礼も言えた!それはとても嬉しい瞬間でしたよ。当時、僕がジュエリーをデザインすると予言していた人はどれくらいいたのでしょうか(笑)。

2023年が間もなく終わり、一年を振り返ると、稲木ジョージとしての存在の自己発見がどれほど幸運なことかを実感します。おそらくこれからまた変化していくと思います。それが進化の過程なのかもしれません。

今年、僕がどれほど恵まれているかを再確認できたのは、もう一つの大きな収穫でした。今の僕は十分に恵まれており、これから得るものは全てボーナスだ!漢字の「人」という字は、人と人が支え合って成り立つことを表していますが、漢字は面白いですね。特にブランドというものは、決して一人で成し遂げるには不可能です。人に助けられて、みんなで築き上げるものです。

好きな言葉は「感謝(gratitude)」。ありがとうと言えるって大事なことだけど、時には照れくさいものです。感謝の気持ちを点字ダイヤモンドで表現することで、毎日欠かさず言えるようになる。だから点字ダイヤモンドコレクションに”Gratitude”をデザインしたのです。


この言葉を点字で表現し、18金素材と天然ダイヤモンドを用いて日本の職人さんがハンドクラフトするのですよ。こんな贅沢でかっこいいことは僕にとって他にありません。ユニバーサルデザインの究極形だと考えています。

もう一つの好きな言葉の一つは「マニフェスト(manifest)」。


願い事は叶うまで時間がかかるものですが、マニフェストは有言実行を意味し、自分軸で実現させ進むことがかっこいいから好き。

ミラモアの各ピースは、ただのジュエリーではなく、僕の哲学と存在意義を象徴しており、ミラモアのジュエリーにデザインとコンセプトとして深く反映しています。

四方八方な内容でしたが、最後まで読んでくれてありがとう。みなさんも今年を振り返ってみて、1番嬉しかったこと、楽しかった思い出はなんでしたか?来年一年やり遂げたいことはなんですか? 毎月、このように自分の想いを文章で伝えることで、みなさんとのコミュニケーションを深められたら嬉しいです。

ニューヨークから、メリークリスマス。

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