記憶が映す、セピアゴールド。

コラム

記憶は、何色だろう。

昨日のことのように、鮮やかに思い出せるものもあれば、どこかに置き去りにされたまま、輪郭だけが残っている記憶もある。

楽しかった出来事でさえ、時間を遡るほどに色はやわらぎ、逆に、あのときは苦しかったはずの記憶も、気づけば痛みが解けていく。

微かに残る記憶は、どんな色をしているのだろう。

白黒ではない。
けれど、決して鮮やかでもない。

それはきっと、セピア色だと思う。

古美色という色がある。
真鍮に近い、時を経て侘びた金の色。

“古くて、美しい”と書くその響きに、惹かれる。

時間が経つことで、色は深まり、価値は変わっていく。

その「時間」を、かたちにしたかった。

金継ぎは、すぐに完成するものではない。
割れた面を整え、繋ぎ、乾かし、また重ねる。
その繰り返しの中で、ゆっくりと仕上がっていく。

時間と向き合い続ける行為そのものが、美しさへと変わっていく。

ミラモアのKINTSUGIシリーズに、新たな表現として、5金によるセピアゴールドが加わる。

これまでのイエローゴールドとは異なり、古美色に近い、やわらかな金の色。

肌に自然に馴染み、時間を纏うような質感を持つ。

18金イエローゴールドの持つ強さと輝きに対して、セピアゴールドは、控えめで経年美化を重ねていく。

18金イエローゴールドと重ねることで、その違いが層となり、記憶のゴールドグラデーションのように映る。

鮮やかな記憶と、やわらいだ記憶。
そのどちらもが、自分をつくっている。

KINTSUGIを身につけることは、何かを消して修復することではなく、自分自身を継いでいく行為。

記憶が映す、セピアの陰影。

それはきっと、時間が残した、尊い美しさだ。

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